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安心して手術を受けていただくために

1. 手術における感染対策

手術を行う病院・医院において清潔操作に不備のある施設をこれまでいくつか目にしてきました。眼科は他科に比べ清潔操作の意識が比較的低いと感じています。当院において行っている他科では当たり前のことを述べていきたいと思います。

① 手術室を広くとり、清潔エリアと不潔エリアを分離
② 高性能HEPAフィルターにより、きれいな空気を維持
③ 手術で使用した器具
☆ディスポーザブル製品(ナイフ、術衣、手袋、手術パック等)
→症例毎に交換→使用物品は廃棄
☆リユース品(ハサミ、ピンセット、フック等)
→適切な洗浄→オートクレーブによる滅菌

眼科手術を行う際の清潔管理として、手術器具が滅菌されていない器具や環境に極力暴露されないことが重要です。当院の手術室は一般的な眼科手術室よりかなり広めにしています。手術室が狭いと清潔エリアの確保が不十分になり、せっかくの清潔物品が不潔になることを避けるためです。また、手術室の空気は完全に滅菌することはできず、埃も完全には除去することはできません。手術室はHEPAフィルター装備の空調設備で極力きれいな空気を維持できるようにしています。

手術器具やディスポーザブル製品は再利用することなく、患者さまごとに完全単回使用としています。白内障や硝子体手術に用いるカセットパックはそれなりに高価ですが、完全単回使用です。術衣や手袋は体液に接触したスタッフが症例ごとに毎回交換しています。高価な小物(ハサミ、ピンセット、フック等)はアルカリ洗浄を行い、オートクレーブで滅菌処理をしています。エチレンオキサイドによる滅菌を用いている施設も散見されますが、エチレンオキサイドは有毒ガスであり、環境への問題があることと、眼科の滅菌方法としては不十分と考えています。

当たり前のことですが、患者さまに他者の体液(血液、前房水)を接触させないように細心の注意をはらっています。

2. 麻酔の工夫

当院では、以下の麻酔を使って手術を行っています。白内障の手術は、点眼麻酔だけでもできますが、点眼麻酔と前房内麻酔を組み合わせることで、より効果的な麻酔が可能です。さらに笑気麻酔を加えると、痛みを和らげる効果が高まります。特に強い近視の方は、手術中に痛みを感じやすい目の構造を持っていますので、近視が強い患者さまには、笑気麻酔、点眼麻酔、テノン嚢下麻酔の組み合わせをおすすめしています。できるだけ痛みの少ない手術を目指していますので、不安なことがあればぜひご相談ください。

① 点眼麻酔
② 前房内麻酔
③ 局所麻酔(テノン嚢下麻酔、皮膚麻酔)
④ 笑気麻酔

① 点眼麻酔とは
目に薬をさして、表面を麻酔することを言います。これは液体の麻酔薬で、目の表面にさすタイプの麻酔です。よく使われるのはオキシブプロカイン塩酸塩やリドカイン塩酸塩の点眼麻酔液です。点眼すると少ししみることがありますが、痛みはありません。局所麻酔なので、手術中も意識ははっきりしていて、耳も聞こえるし、話すこともできます。麻酔の効果は10~20秒後に出て、持続時間は約15~20分です。ただし、効果の時間は成分によって違うこともあります。

② 前房内麻酔
これは前房に少しだけ麻酔液を入れる方法です。とても簡単で、麻酔の痛みもほとんど感じません。麻酔の効果は約15分続き、点眼麻酔よりも長いです。通常の白内障手術では麻酔が切れることもほとんどありません。さらに、点眼麻酔より深い部分にも効果があるので、点眼麻酔よりも強いです。また、テノン嚢下麻酔のように目が赤くなったり、ゴロゴロしたりこともないので、私はこの麻酔法をよく使っています。

③ テノン嚢下麻酔
これは結膜の下にあるテノン嚢という組織に麻酔液を注射する方法です。注射というと痛いイメージがありますが、点眼麻酔と一緒に使うので、痛みはほとんど感じないか、少しだけです。この麻酔は一度の注射で数十分効果があり、痛みを和らげる力も強いです。ただし、注射したところが手術後に内出血しやすく、目が赤くなることや、麻酔した部分が少し違和感を自覚されることがあります。でも、これらは一時的なもので、すぐに治るので心配しなくて大丈夫です。

④ 笑気麻酔
笑気麻酔(笑気吸入鎮静法)は、治療中に痛みや不安を感じやすい患者さまに推奨される方法です。鼻から吸入することでリラックス状態を促し、脳内での鎮静や痛みの軽減を図ります。主成分の亜酸化窒素は即効性があり、治療後はすぐに日常生活に戻れるメリットがあります。ただし、強い鎮痛効果はないため、局所麻酔と併用されることが一般的で、深刻な不安を抱える患者さまには不十分な場合があります。全体として、副作用が少なくリスクが低い方法として広く利用されています。