WEB予約
問診票
078-785-1220
診療時間
お友達追加

近視の進行を予防するためには、生活習慣の見直しと眼科での定期的なチェックが大切です。

近視予防・近視進行抑制について

近視の分類

① 軸性近視(本物の近視)
普通、近視といえば軸性近視の事を言います。軸性近視とは眼軸といわれる眼の縦軸が伸びてしまって長くなった状態の近視のことです。眼の一番底にある網膜(カメラのフィルム)が後にずれているため遠くのものが網膜(カメラのフイルム)に写らなくなってしまうため遠くのものが見えなくなるのです。この状態になるとトレーニングや薬では回復しないとされています。

② 屈折性近視、仮性近視、調節緊張、偽近視(偽物の近視)
焦点(ピント)をあわすには、眼球の中のレンズ(水晶体)がふくらんだり伸びたりします。このレンズを動かすための筋肉が毛様体筋です。毛様体筋が収縮することで水晶体が厚みを変え焦点を合わすことができます。この毛様体筋の過度な収縮により調節しすぎる状態(調節緊張状態)になるのが仮性近視です。
緊張した状態を長く続けていると、仮性ではなく本当の近視になることがあります。

生活における注意点

見るものとの距離をなるべく離すことが重要です。眼と対象物が30cm以上離れるようにして作業をしましょう。寝転がって読むと距離が近くなりがちですから、机に向かい姿勢を正して本を読むのがお勧めです。部屋の明るさ自体は近視と無関係のはずですが、暗いと読む距離が近くなりがちですから適正な明るさは必要です。
外で遊ぶことは近視の抑制できわめて重要です。近視進行抑制のために1日に2時間以上屋外で遊ぶことが推奨されています。

近視予防・進行抑制に対する治療的アプローチ

1)低濃度アトロピン点眼液

近視の進行を抑える方法として、世界で最も広く行われているのが低濃度アトロピン点眼です。もともと 1%のアトロピン点眼は、小児の斜視や弱視の診断・治療に長く使われてきました。この点眼薬を20~100倍に薄めた0.01%~0.05%の低濃度点眼には、点眼しない場合と比べて、点眼を始めた最初の1年間で近視の進行をおよそ30~70%抑える効果があることがわかっています。濃度が低いため、副作用はほとんどありません。通常のアトロピンでみられる「瞳が大きく広がってまぶしい」「手元が見えにくい」といった症状もほぼ起きません。さらに、使い方は 1日1回、寝る前にさすだけ なので、とても手軽です。 日本においては、2024年12月末に、近視進行抑制治療薬として初めて厚生労働省の承認を受けた参天製薬のリジュセア®ミニ点眼液0.025% が、2025年春より販売されています。

2)近視管理用眼鏡

海外では、周辺部の網膜に、網膜の手前でピントが合う光をたくさん作用させ、周辺部の網膜のコントラストを下げることで、近視進行を抑制しようとする眼鏡が販売されております。 2018年ごろから海外で販売されるようになった、これらの新しいタイプの近視管理用眼鏡は、通常の眼鏡やコンタクトレンズ比で、装用開始から2年間でおおよそ55%〜60%、近視の進行を抑制することが報告されております。 眼鏡による治療であれば、より小さな子供でも簡単に実施することが可能です。 これまで海外で効果が確認されていた「近視管理用眼鏡」は、日本では医療機器としての扱いが難しく、長い間販売されていませんでした。 この課題に対応するため、厚生労働省の要請を受けて日本近視学会が2025年度にガイドラインを作成し、日本においても「近視管理用眼鏡」を安心して使用できる体制が整いつつあります。 現在のガイドライン(第1版)では、MiYOSMART®(HOYA社)と Stellest®(Nikon-Essilor社)が推奨されており、国内販売については準備が整い次第、順次開始される予定です。今後は、条件を満たした新しいレンズも順次追加されていく見込みです。 なお、アメリカではFDA(米国食品医薬品局)が2025年9月に、Essilor Stellest® 眼鏡レンズ を「子どもの近視進行を抑える効果がある眼鏡」として初めて承認しています。

3)多焦点ソフトコンタクトレンズ

多焦点ソフトコンタクトレンズは、本来は老視(手元が見えにくくなる症状)を矯正するために開発された「遠近両用コンタクトレンズ」として知られています。 近年、海外ではこの技術を応用し、子どもの近視進行を抑えるための多焦点ソフトコンタクトレンズが各社から販売されています。1日使い捨てタイプなので衛生的に管理しやすく、国によっては低濃度アトロピン点眼やオルソケラトロジーよりも広く使われている治療法です。ただし、日中に装用する必要があるため、ゴミが入ったときに自分で取り外すなどの自己管理ができる年齢になるまでは使えず、比較的年齢の高い子ども が対象になります。 多焦点ソフトコンタクトレンズの中で、「MiSight® 1day」(クーパービジョン社)は、長らく唯一アメリカFDAの承認を受けていた製品です。このレンズは世界各国で広く使用されており、臨床試験では装用開始から3年間で近視進行を59%抑制する効果が示されています。日本でも国内臨床治験が終了し、2025年8月に厚生労働省の承認を取得しました。今後は国内でも正式に使用できるようになり、近視抑制治療の新しい選択肢として期待されています。

4)オルソケラトロジー

オルソケラトロジーは、カーブの弱いハードコンタクトレンズを睡眠時に装着して一時的に角膜の形状を平らにし、焦点を後方にずらすことで眼鏡やコンタクトなしで、良好な裸眼視力を得ようとする屈折矯正法です。 レンズを外しても一定時間はその形状が続くので、日中は裸眼で過ごすといったことが可能になります。 しかし圧迫できる角膜の上皮には限界があるため、矯正量はガイドラインでは4ジオプトリーの近視まで、となっています。 オルソケラトロジーは、近視の矯正が得られるだけでなく、装用開始2年間で、近視進行をおおよそ32%〜63%抑制することが示されています。 夜間に大人の管理のもとで装用できることから、年齢の低い子どもで、選択されることもあります。 欠点としては、適切な処方や管理を怠ると角膜感染症など失明につながる重篤な合併症を起こすこともあります。 常にガイドラインを遵守して使用する必要があります。

5)レッドライト治療法(red light therapy)

2014年に偶発的に、中国で長波長の650nmの赤色光が、過剰な眼軸伸展を抑制することが発見されました。 2021年のアメリカ眼科学会雑誌に、レッドライト治療法の非常に高い近視進行抑制効果が発表されたことで、世界中で大きな話題となりました。 この治療で用いられる低出力の赤色光は、いわゆる可視光です。 実施方法は非常に簡便で、1回3分、1日2回、可視光である650nmの赤色光を、自宅で平日に覗き込むことというものです。 平日5日のうち4日間真面目に実施したお子さんの近視進行が約9割抑制されているという驚くべき結果でした。 レッドライト治療は、抑制効果においては、単独で最も優れた治療ですが、長期的な安全性に関してはさらなる研究成果が待たれます。 本治療法は適切に対象を選択し、効果と安全性を確認しながら、眼科医が慎重に経過観察する必要があります。 中国では、医師の管理なく、スーパーなどで販売されたケースなどが問題となっています。 日本ではこのようなことがないよう、眼科医の管理下で慎重に進める必要があるでしょう。

6)クロセチン内服

慶應義塾大学と大阪大学、ロート製薬の研究グループは、クチナシ由来の色素成分「クロセチン」が小児の眼軸長伸長・屈折度数の近視化を有意に抑制することを発表しました。ロート製薬から発売されているサプリメントを当院でも取り扱っています。

その他の近視進行抑制法

近年まで我が国では、近業時の毛様体筋の過緊張により近視が進行するとの説に従い、調節麻痺薬である0.4%トロピカミド点眼薬(ミドリンM、サンドールMY)や低矯正メガネが処方されてきましたが、両者とも近視進行抑制効果の科学的な根拠を示す研究報告は存在しません。

眼科に行くとワックという機械が置いてあるところがあります。この機器は視力検査前に、目の不要な緊張を解くためのものです。目に余計な緊張があるまま、視力検査をすると、メガネを過矯正したりする弊害があるためです。そのため眼科に設置されているわけですが、いつのまにか視力回復ができる機械という間違った認識がされるようになりました。視力回復機のように認識されていますが、じつは近視を改善する力はもたないのです。あっても目の疲れの解消、眼精疲労の予防、仮性近視の改善程度です。