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近視の進行を予防するためには、生活習慣の見直しと眼科での定期的なチェックが大切です。

近視進行予防

子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれることにより生じるケースが多くあります。近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることはありません。眼軸長が伸びることによって将来、網膜剥離、近視性黄斑変性、緑内障等の疾患が増加するとの報告が多数あります。そのため、眼軸長の伸びを抑えることが近視の進行を抑制するためには重要となります。

現在当院で行っている近視進行予防

🔸生活指導

🔸低濃度アトロピンによる近視抑制

🔸オルソケラトロジー

🔸遠近両用コンタクトレンズ

🔸クロセチン内服

🔸上記の複合

 

生活指導

見るものとの距離をなるべく離すことが重要です。携帯ゲーム機を20cm以下の距離で長時間使うことはやめましょう。大きなテレビに映して離れて操作するゲーム機なら問題ありません。
本を読まないわけにはいきませんが、眼と対象物が30cm以上離れるようにして作業をしましょう。寝転がって読むと距離が近くなりがちですから、机に向かい姿勢を正して本を読むのがお勧めです。部屋の明るさ自体は近視と無関係のはずですが、暗いと読む距離が近くなりがちですから適正な明るさは必要です。
外で遊ぶことは近視の抑制できわめて重要です。近視進行抑制のために1日に2時間以上屋外で遊ぶことが推奨されています。

 

低濃度アトロピンによる近視抑制について

低濃度のアトロピン(0.01%、0.025%)を配合した点眼薬は小児期の近視進行を軽減させることを目的で、Singapore National Eye Centre (SNEC:シンガポール国立眼科センター)の研究に基づいて開発されています。

■低濃度アトロピンによる近視抑制が行われる理由

低濃度アトロピンは、近視の進行を遅らせる(眼軸長の伸展を抑制する)という点で統計的にも臨床的にも有意義な働きが確認されている治療法の一つです。適正な濃度(0.01%、0.025%)のアトロピンを配合する事により、近視の進行スピードを抑えると同時に、アトロピン1%点眼薬よりも副作用を軽減しています。

☑重篤な副作用の報告はありません。

この薬の本来の作用により、一時的に瞳孔(黒目)が大きくなりまぶしく感じますが、数時間でほぼ正常な状態に戻りますのでご心配ありません。

☑近視の進行を平均約15~60%軽減させる良好な点眼薬と言われています。

0.025%製剤は0.01%製剤と比べ、より優れた近視抑制作用を示すことが確認されています。当院では0.025%製剤のみ採用しています。

■低濃度アトロピン治療について

シンガポール、および香港で行われた研究結果については以下の報告がありました。

🔶点眼終了後、目の遠近調節機能の低下、および瞳孔がひらき続けてしまうという報告はありませんでした。

🔶アレルギー性結膜炎、および皮膚炎の発生は殆どありませんでした。

🔶眼圧に影響を与えるという報告はありませんでした。

🔶白内障を発症させるという報告はありませんでした。

🔶電気生理学上、網膜機能に影響を与えるという報告はありませんでした。

■オルソケラトロジーについて

現在のところ、単独では実用可能で最も確実な近視進行抑制法です。作用機序は軸外収差(網膜周辺部における網膜後方へのピントのずれ)の抑制とされています。日中は裸眼で過ごせるため、サッカーや水泳などのスポーツをする子供に特に向いています。やや高価で、通常のコンタクトレンズ同様、感染症予防のために洗浄・消毒が必要となります。近視進行抑制率は35%程度とされています。

 

■遠近両用コンタクトレンズについて

作用機序はオルソケラトロジーと同様、軸外収差の抑制で、抑制率もオルソケラトロジーに近似しています。通常のコンタクトレンズ同様、洗浄・消毒が必要です。近視進行抑制率は35%程度とされています。

 

■クロセチン内服について

慶應義塾大学と大阪大学、ロート製薬の研究グループは、クチナシ由来の色素成分「クロセチン」が小児の眼軸長伸長・屈折度数の近視化を有意に抑制することを発表しました。ロート製薬から発売されているサプリメントを当院でも取り扱っています。

 

■複合的な近視抑制

低濃度アトロピンとコンタクトレンズ(オルソケラトロジーまたは遠近両用コンタクトレンズ)を組み合わせることによって70%以上の高い近視抑制効果が報告されています。クロセチンの内服も加えれば更に高い抑制効果が期待できます。