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40歳を過ぎたら定期的に眼科検診を受け、眼圧や視神経の状態をチェックしましょう。

緑内障とは

緑内障は何らかの原因で視神経が障害され視野(見える範囲)が狭くなる病気です。眼圧の上昇が原因の一つといわれており、 日本人の中途失明原因の第二位となっています。
また、2002年に多治見市で行われた大規模検診の結果では、40歳以上の有病率は5.78%で、約16人に一人の割合で緑内障がある、 ということが明らかになりました。

緑内障の主な原因としては眼圧の上昇が挙げられますが、眼圧とは一体何でしょうか?

下図の水晶体前面にある前房の中は水でみたされています。
この水を房水といい、眼の中で血管のない所へ栄養を運ぶ役割を持っています。房水は毛様体でつくられてシュレム管を通り眼の外へ排出されます。

しかし、何らかの原因で房水がきちんと外に流れ出ないと、房水は逃げ場を失い、眼の中でどんどん増えていきます。その結果、眼の中の圧力(=眼圧)が上がって眼の奥にある視神経を圧迫して傷めます。正常な眼圧は10~21mmHgとされますが、 なかには正常な眼圧なのに視神経を傷める緑内障もあります(=正常眼圧緑内障)。

 

 

緑内障の種類

🔷原発開放隅角緑内障
房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。

🔷正常眼圧緑内障
眼圧が正常範囲(10~21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。 近年行われた全国的な調査の結果から、緑内障の約6割が正常眼圧緑内障であり、また欧米にくらべて日本人に多いらしいことがわかりました。

🔷原発閉塞隅角緑内障
隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ(線維柱帯がふさがれて)、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります。

🔷先天緑内障
生まれつき隅角が未発達であることからおこる緑内障です。

🔷続発緑内障
外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。

 

緑内障の検査

緑内障は、眼圧検査、眼底検査、視野検査等で診断されます。定期検診などでいずれかの検査に異常があった場合、もう一度診察を受けるようにしましょう。

🔶眼圧検査
眼の固さをはかる検査です。正常な眼圧は10~21mmHgとされています。 直接眼の表面に器具を当てて測定する方法と、眼の表面に空気を当てて測定する方法があります。

🔶隅角検査
角膜と虹彩の間(隅角)の広さを調べる検査です。

🔶眼底検査
視神経の様子を調べる検査です。緑内障の場合は視神経が萎縮し、視神経乳頭の陥没が見られます。 当院ではより精細な眼底の観察が可能なOCT (Optical Coherence Tomography)による視神経線維層解析を導入しています。機器の飛躍的な進歩により、緑内障診療には欠かせないものとなってきています。

🔶視野検査
視野の欠損(見えない範囲)の存在の有無や大きさから、緑内障の進行の具合を判定します。当院では、判定結果のコンピューター解析が可能なハンフリー静的量的視野計と、進行した視野欠損の計測に適したゴールドマン動的量的視野計を導入しています。

 

緑内障治療について

緑内障の治療は病気の進行をくい止めるため、眼圧を低くコントロールすることが有効とされています。 治療法としては薬物療法、レーザー治療や手術が一般的です。レーザー治療や手術を受け、眼圧が下降しても、その作用が維持されるとは限らず、 再度手術を行う場合もあります。

 

🔷点眼薬・内服薬
通常はまず、眼圧を下げる点眼薬で治療します。眼圧を下げる点眼薬には房水の産生を押さえるものと、房水の流出を促すものがあります。
場合によっては2~3種類の点眼薬を併用することもあります。点眼薬では作用が不十分な場合は、内服薬を用いる場合もあります。

また、緑内障は眼圧以外にも血流障害が悪化要因になることが知られており、血流改善を促す薬を使用することもあります。また緑内障で機能が低下した視神経・網膜に対し、ビタミンB12製剤などが処方されることもあります。

🔷レーザー手術
急性緑内障発作を起こした場合や、発作を起こす可能性の高い眼(房水の通り道の狭い眼)の場合、レーザー光線で虹彩の根部に小さな穴を開けて、新たに房水の通り道を作ります。また、房水の出口である線維柱帯にレーザー光線を照射し、その熱凝固によって房水が外に流れ出る抵抗を減少させて、流れをよくする方法もあります。

🔷手術
薬物療法やレーザー治療を行っているにもかかわらず、眼圧が高かったり、視野が狭くなっていったりする場合には、手術も考えます。
広く行われている術式は、大きく分けて2通りあります。眼圧を下げるために房水を外に排出する通り道を形成する濾過手術と、房水が流れ出るときに通るシュレム管のフィルター(線維柱帯)を切開して房水の通りをよくする流出路再建術です。

また、房水の通り道に虹彩が癒着して、外に排出されないために眼圧が上昇している場合には、虹彩と隅角の癒着をはがして、房水の通りをよくする手術もあります。
この他にも緑内障手術の術式はたくさんありますが、その方の病状に合わせて慎重に選択します。